「付き合う」という言葉が、私の辞書にはない。
つまり、自分の体験不足で、「付き合う」ということがどのようなことか、わからない。
そこで、 ゼミの学生に、「どういう状態が、付きあっている、ということになるのか」と聞いてみた。ひとりの学生(A君)が答えてくれた。
A 「それはいろいろでしょう」
私 「二人で一緒に、映画を2~3回見に行ったら付き合っていることになるの?」
A 「先生は、映画にこだわりますね。回数は、関係ありません」
私 「自分は付き合っていると思っているのに、相手は付き合っているとは思っていない場合もあるんじゃないの」
A 「それは、あまりないと思います。『付き合ってほしい』と言い。その返事をもらい、付き合いは始まるから」
私 「付き合ってほしい」と、面と向かって言うの、それとも手紙やメールで言うの?」
A 「今は、メールが多いんじゃないですか。自分の付き合い始めた時のやり取りが、スマホに記録が残っているので、先生に特別見せてあげますよ。それを見ればわかると思うよ」
A君の見せてくれたのは、A君の彼女とのラインでのやり取りである。普通の会話のようなやり取りが、記録に残っている。それは、メール(チャット)でのやり取りの記録である。
びっくり(社会学で「会話分析」という手法があるが、ラインのやり取りを提供してもらえば、さまざまな実証分析ができると思った)
A君が、知り合って1か月の女の子に、「付き合ってほしい」と言うまでの、緊迫したやり取りが、そのスマホの記録にリアルに残っている(左と右に書き分けられているのでわかりやすい。 全く、普通の会話と変 わらない。)
最初に女の子が、「今気になっている男の人がいるんだけれど」と言い、それに対してA君が、「それ、タメ?」と探りを入れ、「年上だよ」と聞き、安心する。
「自分も好きな子がいるんだけれど」とA君。それに対して、女の子は、「告白しないの」と聞く。その後いくつかやり取りがあり、A君が「好きなのはB(女のこの名前)だよ」と思いきって言う。
「え、なぜ私なの?」「一緒にいて、楽しいから」「私でいいの?、私、面倒な女だよ」「いいと、自分も面倒な奴だもん」「嬉しい」「付き合おうよ」「いいよ」(以下略)
(実際のメールのやり取りをうまく再現できないが)、ラインを使っての会話(チャット)は、普通の会話と変わらない。ケイタイ小説を読んでいるよう。
このようにして、現代の若者の付き合いは始まるのかと納得した次第。