新型コロナの対策について、他の国との比較がなされることがあるが、実際の体験が報告されることは少ない。
友人で、以前から上海の同済大学で教員をしている秦政春氏が、2020年に福岡から上海に行った時の体験を、雑誌に寄稿している。その時は、福岡→上海の航空便はなく、皆成田経由で上海へ渡ったようだが、出発直前の成田での検査や陰性証明、検査員や飛行機の乗務員、航空職員全員の感染防備服の着用,上海に着いてからの3週間に渡る隔離生活など、日本と比べものにならない中国の徹底した感染対策の様子が、体験から詳細に語られている。いい文章で書かれていて、ドラマのシーンを見ているよう。「隔離生活」の心理が、体験から語られていて興味深い。
秦政春「不思議な年 2020年 そして2021年」(『アジア、文化、歴史 13号』2022年2月)