これも昔よく読んだ人・本だが、『多田道太郎著作集Ⅱ』をアマゾンで購入した(元の定価3980円、購入価格2円、送料350円)。目次を見ると、有名な「複製芸術論」はじめ、興味深い論稿がたくさん再録されている。加藤典洋の「解説対談」もある。さらに、つげ義春の論が漫画付きで載っていた。つげ義春の漫画は私も好きで昔よく読んだが、最近では海外で賞を受賞したという新聞記事を読んだばかり(下記に転載)。つげ義春の漫画は今の時代の気分に合うのかもしれない(その一部を転載しておく)。
<つげ義春さんが特別栄誉賞 欧州最大規模の漫画の祭典―仏南西部アングレームで1日にあったアングレーム国際漫画祭の授賞式で、賞を受け取った漫画家のつげ義春さん。 フランス南西部アングレームで1日、欧州最大規模の漫画の祭典として知られる第47回アングレーム国際漫画祭の授賞式が行われ、「ねじ式」や「沼」「無能の人」などで知られる漫画家つげ義春さん(82)が特別栄誉賞を受賞した。 漫画祭の公式ツイッターによると、つげさんは授賞式で観客から総立ちの拍手を受け、「非常に光栄です」とあいさつした。漫画祭ではつげさんの特別作品展が開かれ、多くのファンが訪れた。 東京出身のつげさんは、1950年代に漫画家としてデビュー。60年代から「月刊漫画ガロ」に発表した作品の数々は高い評価を受けている。>(朝日新聞2020年2月2日 )
<折々のことば:758 鷲田清一 私は関係の持ちかたに何か歪(ゆが)みがあったのか、日々がうっとうしく息苦しく、そんな自分から脱(の)がれるため旅に出、…… (つげ義春) ◇ 旅の途中、うらぶれたボロ宿に惹(ひ)かれた心境を漫画家はこう綴(つづ)る。そこだと「自分がいかにも零落して、世の中から見捨てられたような心持ち」になれ、えもいわれぬ「安らぎ」を憶(おぼ)えるのだと。もうこれ以下はないとわかると、いじけた根無し草のような存在にも、ゆるくて黒いユーモアが漂いはじめる。「新版 貧困旅行記」から。>(朝日新聞 2017年5月19日)
多田道太郎「つげ義春の変化意識」の一部をコピーしておく(続きは、各自原本を。)