内外教育(6月17日)のひとこと

「内外教育」の「ひとこと」に書いた原稿を、下記に転載しておく。

 教育の世界では当たり前のことが、教育の外の世界ではそうではないことがある。最近では大学の学問の自由、多文化主義、リメディアル教育などが、世界の政治家や日本の政府から問題視されている。それらは時の政策や経済発展の阻害要因になると考えられている。

 教育は真空の中で理想通り行われるわけではなく、その時々の社会の状況の制約の中で行われるので、外から強い要望が寄せられる。教育の世界は外圧から比較的保護されているが、危機や不況の時代には、政策に批判的であったり、効率が悪いと、教育に非難が浴びせられることが多い。極端な発言がなされ、世論の賛同も得る。それが教育の弱点や怠慢を突いている場合もあり、教育の側も改善をはかる必要がある。どのような理想的な制度も成員の日々の努力なしには存続しない。

 教育はもともと普遍的な理想を掲げ、それを追求する側面がある。同時に理想に安住し現実を顧みず形式主義に陥る傾向もある。これまでも既存の学校制度を鋭く批判した思想家(イリイチ等)もいたし、新型コロナの蔓延で、学校の諸活動の再吟味がなされた。学校の慣行には、時代錯誤で無駄な部分もある。教育において一部の子どもが優遇されるあまり、置き去りにされている子どももいる。

 一方現代は、経済優先という惡貨が、理想の教育という良貨を駆逐している面もある。弱者を支援する教育は経済効果がないと不況の時代には非難される。今覇権国家の自国の経済優先主義、他国への理不尽な進攻を多く見ていると、理想を説く教育は、今の時代こそ必要なものに思える。国民が利己主義に陥るか利他主義を選択するかは、教育によって培われた心情や価値観によるところが大きい。真理の探究、思いやり、相互扶助、国際理解など、教育の理想は世界の人々の共生と平和をめざしている。良貨の教育の努力で利己主義的な悪貨の蔓延を防ぎたい。

霧降高原のニッコウキスゲで心と命を養う

藤原新也は近著(『メメント・ブィータ』双葉社、2025)の中で、ウクライナ難民の女性が上野の桜の花を見て晴れた表情に変わったテレビ番組や、自分の花体験から「人は花を見て心を養っている。平たく言えば命を養っている」と書いている(306頁)私も含め、高齢者が季節季節の花を見たくなるのは、加齢で枯れてきた心を養い、先の短くなった命を養っているのかもしれないと思った。

昔夏に蓼科に行った時の、近くの車山高原のリフトに乗ってみたキスゲのさわやかな印象が強く心に残っている。そして昨年、川治温泉に泊まった帰りに寄った霧降高原のニッコウキスゲの見事さに心打たれて。今年もそのニッコウキスゲを見ようと出かけた。昨年と同じ時期(6月下旬)に、湯西川の温泉宿に宿泊して訪れたが、結果的に次期が早すぎ、しかも大雨の中、濃い霧も発生して、霧降高原の1500段の階段の登り降りに難儀し、1日目は300段くらいで諦めた。2日目も挑戦して、何とか雨の止んだ曇り空の中600段ほど登り、4分咲きのニッコウキスゲの花を楽しんだ。さすが霧降高原で、アッという間に霧が出て、あたり一面視界がなく、幻想的な世界に黄色のキスゲの花が浮かび上がる。少しは心と命も養えたのではないかと思える(温泉で体の休養も得た)。

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日本の評論は英訳されず、韓国語訳は出る理由―生成AIに聞く

問ー内田樹氏の本は57冊が韓国で翻訳されているとのことですが、英語訳は1冊もないとのことです。内田樹だけでなく、氏の読む日本の評論家(吉本隆明、埴谷雄高、江藤淳、橋本治、加藤典洋)の本が英訳されることもほとんどないとのことです。これは、英語圏の人たちは日本の知識人が自分たちの社会と世界をどうとらえているかについて全然興味がないということを意味しているのでしょうか。韓国の人は、英語圏の人と違い、日本人の社会的な見方に関心があるとのことでしょうか? 吉本隆明や江藤淳の本の韓国語訳はありますか?

ChatGPTの回答ーとても鋭いご質問ですね。おっしゃる通り、内田樹氏の著作は韓国で非常に多く翻訳されている(50冊以上)にもかかわらず、英語訳はほとんど存在しません。これは日本の現代思想や評論が、英語圏と韓国でどのように受容されているか、その文化的・政治的な文脈の違いをよく示している現象です。/  英語圏における日本の評論家への関心の乏しさの背景ー英語圏の「翻訳の門戸」の狭さ、英語圏では、翻訳文学が出版される割合は非常に低く(米国では全出版物の3%未満)、特に評論や思想系はさらにその中でも狭き門です。優先されるのは、文学賞を取った小説や時事性のあるノンフィクションであり、内向きな議論や文脈依存の評論は敬遠されがちです。/「日本研究」における偏り-英語圏の日本研究(Japanese Studies)は、近年、歴史学や文化人類学、ポップカルチャー研究が中心で、現代日本の知識人の思考や社会批評にはあまり関心が向いていません。つまり「日本をどう見るか」は研究対象になるが、「日本人が世界をどう見るか」は軽視されやすい。/ 翻訳者や研究者の不在–吉本隆明や加藤典洋のような難解で文脈依存の強い文体を、英語に乗せるのは至難であり、その試みに情熱を持つ翻訳者が極めて少ない。/韓国での積極的な翻訳とその背景ー近接する文化的・社会的課題、日本と韓国は、ともに戦後の高度経済成長、民主化運動、受験競争、少子化、ナショナリズムなど類似の社会課題を経験しており、日本の知識人の議論が韓国でも「自分たちの問題」として響きやすい。特に、教育・家族・宗教・メディアに関する内田樹氏の批評は韓国読者に親和的。 /韓国の読書文化の特徴ー韓国では翻訳書が出版物全体の約3~4割を占めるとされており、日本の思想書の翻訳も盛ん。日本文学や思想の翻訳が、文化的・知的アイデンティティの一部として根付いている。日韓知識人の相互関心ー韓国では日本の思想家への関心が高く、哲学者の姜尚中(カン・サンジュン)氏や文学者のパク・チョルヒ氏などが、日本の思想を積極的に紹介・翻訳しています。/吉本隆明・江藤淳の韓国語訳はあるのか?-吉本隆明の著作は、いくつか韓国語に翻訳されています。たとえば:『共同幻想論』は韓国で翻訳出版されており、知識人層に根強い読者を持っています。他にも、彼の詩や思想断章をまとめた本が断続的に紹介されています。 江藤淳に関しても、代表的な評論が翻訳されています。特に戦後文学や国家観に関する著作は、韓国でも重要な「日本理解の鍵」として読まれています。/  結論-英語圏が「日本人の世界認識」に関心がないというよりも、「関心を持つための構造ができていない」または「優先順位が極めて低い」というのが実態に近いです。一方、韓国では日本の社会思想や知識人の言説が、自国の課題に接続しやすく、積極的に翻訳・受容されています。 これは単なる関心の違いというより、文化的な近接性、社会課題の共通性、翻訳文化の成熟といった構造的な要因によるものです。

佐倉ラベンダーランドに行く

以前に「たんばらラベンダーパーク」にラベンダーを見に行ったことがあるが、車でかなりの距離があり、入場料も1200円と高く、それほど見栄えのするパークでなかった記憶がある(2023年8月3日のブログに記載。ただ、季節が過ぎていたのかもしれない)。本日、家から近い佐倉市に広いラベンダーガーデンがあるというので、出かけた。メインの道路からはかなり中に入り込んだ趣のあるゴルフ練習場に隣接するところのガーデンであったが、なかなか広く見事なラベンダー畑で、そのよさを堪能した(駐車料金、入園料無料、さすが佐倉市の施設、花を見に来ている人の雰囲気も良い)。そのゴルフ練習場のレストランのランチも美味しく、近場にいいところがまだあるものだと思った。

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佐倉ラベンダーランド

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ラベンダーに関しては、ネットで検索すると「ラベンダーは、夏を彩る花の一つです。美しい香りと淡いピンクや紫の綺麗な色合いが特徴的です。日本国内にも野生のラベンダーがありますが、見頃は6月から8月の間だとされています。定番の「愛情」「友情」「勇気」などの気持ち伝わる花言葉も人気の秘密!この美しい花は「信任」を意味するためから古来から人々の心を惹きつけてきました。さらにラベンダーの花言葉は「幸運」という意味合いがあります!」(https://flower-plant.com/articles/7043)とある。

今年の菖蒲(あやめ)の見学

例年は今の季節、茨城県の潮来にあやめ(菖蒲)を見に行くのだが(昨年の様子は6月6日に記載)、物価高の折、高速代(千葉北から潮来まで片道1900円)を節約して、今年は近場の習志野市の公園2つ(習志野香澄公園、実籾本郷公園)にあやめを見に行った。2箇所ともこじんまりとしながらも、かなり多くの種類の色とりどりのあやめが咲いていて、公園の雰囲気もよく、十分に楽しめた。あやめ園は、静かに日本情緒を味わうことができる場である。(共に家から車で20分ほどの距離、高速代、駐車料金、入園料無料)。

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2つの公園のHPは下記。

香澄公園

https://www.city.narashino.lg.jp/soshiki/koenryokuchi/gyomu/shisetu/koenshiseki/kasumikoen.html

実籾本郷公園

https://www.city.narashino.lg.jp/soshiki/koenryokuchi/gyomu/shisetu/koenshiseki/mimomihongokouen.html